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なんだか、このネタ書くと、
うちのチャシロがまた外耳炎再発させそうで嫌なんですけど…。

淡々といきましょう。

さて、今回のお話はやっぱり転院してきた猫さん。

1年くらい前から外耳炎で悩んでいて、病院にかかるのは当院で3軒目。
最初の病院さんでどんな治療をしていたのかは不明ですが、
2軒目の病院さんでは、耳垢を培養検査に出して、緑膿菌が検出されていて、
感受性検査に基づいた抗生剤で治療していました。
それでも治らず、当院に転院してこられました。

外部検査にまで出して、ちゃんと効くはずの抗生剤を使っているのに、
全然治らなかったのはなぜでしょう?

それは…

外耳炎の原因が緑膿菌ではなかったから。

え!?って思います?
「だって、ちゃんと培養検査に出して検出されているのに!」って。

実は緑膿菌って常在菌。皮膚にいて当たり前の菌なんです。
なので、培養検査などをして検出されたとしても
本当にその菌が悪さをしているか?の判断が必要になります。

この子の場合、耳垢を顕微鏡で見てみると、
マラセチアという真菌がたくさん出ていて、
緑膿菌らしき桿菌(棒状の最近)は見つからなかったので、
「外耳炎の原因はきっとマラセチア」ということで、
マラセチアに対する治療をしました。

猫で外耳炎は珍しいですが、
犬ではマラセチアはおそらく外耳炎の原因のトップではないかと思います。
再発は多いですが、点耳薬で一旦はかなりあっさり治ることが多いです。
ただ、単なるマラセチア性外耳炎で、
2つも病院に通って1年以上治らないなんてことは考えにくいので、
何かしらほかに治りにくい原因があるのかもしれません。
それでも、まずは普通のマラセチア性外耳炎の治療をして、
やっぱり治らなければ、その時にまた対応を考えましょう。

と飼い主さんに説明して、点耳薬をお出しして…
3週間で治りましたorz。

耳垢を顕微鏡で見る検査は、一番最初に必ず行うべき基本中の基本の検査です。
かかる時間は数分。
この猫ちゃんはその検査をしてもらえなかったために、
数週間で治る外耳炎で1年近く苦しんだのです。

耳垢検査、転院症例で聞いてみると、してもらってない飼い主さんは結構います。
犬の外耳炎の場合、耳垢検査をしても、だいたいいつもマラセチアがいて、
たまに細菌がいて、どっちにしても抗菌剤と抗真菌剤とステロイドが入った点耳薬を出す。
私もたまに「やる意味あるんか~~い?!」って思いますし、
やらないで済ましてしまう先生の気持ちもわかるのですが…
基本は大事。本当に。
お金かけて小難しい検査をする前に、当たり前の基本の検査ちゃんとやりましょうと思った症例でした。

あづみの動物病院
安曇野市豊科4311-1
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