令和元年(2019年)6月頃から、かんぽ生命の委託を受けた郵便局による生命保険の不適切販売に関するニュースが、よくマスコミで取り上げられます。

現在でもよく取り上げられておりますが、こういったニュースを見ていて、すごく疑問に感じる事があり、それはアフラックが日本郵政との業務提携を解消しない点です。

日本郵政のイメージはかなり悪くなっておりますから、アフラックは日本郵政と距離を置かないと、同じようにイメージが悪くなってしまうと思うのです。

この理由について考えていたら、がん保険のカラクリ(著:岩瀬大輔)の中に記載されていた、次のような文章を思い出しました。

『本書を書きはじめるにあたって、欧州の保険会社に勤務する英国人の友人に、世界各国のがん保険市場規模に関するデータを送ってもらえないかと依頼した。

世界有数の保険会社の調査部門で各国の保険市場に関するデータを取り扱う彼から送られてきた回答は、次の通りだった。

・保有契約ベース:日本92億ドル、韓国36億ドル、台湾20億ドル、中国0

・新契約ベース:日本7億ドル、韓国2億ドル、台湾3億ドル、中国0

ありがとう、でもアジアだけでなく、欧米のデータも欲しいのだけれど。そう返信すると、意外な返事が返ってきた…(中略)…

彼によると、世界的に見ても、ここまで「がん保険」という単品商品が普及しているのは、日本と韓国・台湾だけとのことだった』

以上のようになりますが、これらを見ると、がん保険が普及しているのは、アジアの一部だけとわかります。

そうなるとがん保険は「ガラケー」(「ガラパゴス携帯」の略:日本で独自に発展した従来型の携帯電話を示す)ならぬ、「ガラ保」なのかもしれません。

またどんな家庭でも 生命保険料は月5000円だけ(著:藤井泰輔)に記載されていた、次のような文章も思い出しました。

『ところで、みなさんはご存知でしょうか?アヒルがテレビCMに出てくるアメリカの保険会社のことです。

あの会社は、ながらく日本法人ではなく、ただの日本支社でしかありませんでした(最近ようやく法人化を発表)。

そんな会社が、すべての保険種類を含めた契約件数が、日本生命よりも多く日本一で、みなさんが払っている保険料がアメリカ本国よりもずっと多く年間1兆4000億円にも上り、日本でせっせと利益を上げているのです。

日本ではアメリカよりも生産性が低くても、利益が上がるのです。それは日本の保険市場が彼らにとって、売りやすくておいしい市場であることの証です』

以上のようになりますが、この中の「アヒルがテレビCMに出てくるアメリカの保険会社」とは、アフラックを示していると思われます。

またがん保険が普及しているのはアジアの一部だけですから、日本での契約件数や保険料収入が、アメリカ本国よりも多いのは、当然の話だと思います。

ただアフラックの契約件数が、すでに日本生命を超えているというデータには、かなりの驚きを感じました。

アフラックは日本の保険市場で、これだけ稼いでいるのですから、日本郵政との業務提携は、なかなか解消できないと思います。

ところでどんな家庭でも 生命保険料は月5000円だけの中には、次のようなデータも紹介されておりました。

『イギリスでの生命保険加入率は、完全貯蓄性商品の個人年金保険を除いて、1995年には64%でしたが、その後ずっと右肩下がりで最近では25%まで低下していて、将来はイギリスから生命保険という商品が消えてしまうのではないかというものです。

その理由が十分に分析されているわけではありませんが、日本と同じように比較的社会保障制度が充実した国で、民間の生命保険の加入率が低下しているというのは、極めて興味深い事実です』

『アメリカの生命保険加入率は60%で、そのうち団体生命保険の占める割合が比較的高いというデータです…(中略)…

またほかの調査書によりますと、1980年代以降アメリカの個人向け生命保険販売は、40%も低下しているとのことです。

こうした傾向はイギリスと同じで、生命保険も物の消費に似て大量消費(高額な保険購入)の時代は終わっているということではないでしょうか』

以上のようになりますが、イギリスとアメリカでは生命保険が、オワコン(「終わったコンテンツ」の略:ブームが去って流行遅れになった、または時代に合わなくなった漫画、アニメ、商品、サービスなどを示す)になりそうな気配があるようです。

社会保障制度が充実したイギリスだけでなく、アメリカのような公的医療保険が普及していない国で、生命保険がオワコンになりそうという話には、かなりの驚きを感じます。

最近は「若者の生命保険離れ」が話題になっておりますが、これは日本でも同じような現象が起きる、予兆なのかもしれません。

ただイギリスでは25%の方が生命保険に加入し、アメリカでは団体生命保険の占める割合が比較的高いというデータから考えると、日本で生命保険がなくなるのではなく、保障が必要な期間だけ、団体生命保険のようなシンプルな生命保険に加入するというスタイルに、変わっていくと推測しております。

つまりこの文章の中に記載されているように、大量消費(高額な保険購入)の時代が終わるのです。

Source: 生命保険、医療保険に加入する前に知っておきたい、社会保険の知識