令和2年(2020年)10月4日の東洋経済を読んでいたら、日本人はドコモの高い携帯料金に甘んじていると題した記事が掲載されておりましたが、一部を紹介すると次のようになります。

『実際、日本ではいわゆる格安スマホがあふれている。なかには質の悪いものもあるが、質のよいものもある。

実際、私も10年近く格安スマホを使っているがサービスには満足しており、携帯電話代が高いとは一度も思ったことがない。

むしろ、過去、アメリカなどの携帯電話代のほうが非常に高く、回線を保有することができなかったという記憶しかない』

『高いのがいやなら、乗り換えればよい。しかし、それをしない。なぜか。いろいろな理由があると思うが、最大の理由は、ドコモのサービスが「良すぎる」からである。

どこにでもドコモショップがあり、何か困ったら何でも助けてくれる。SIMカードを入れたり、新しいスマホの操作を教えてくれたり、至れり尽くせりだ』

『しかも、通信の品質以外のサービスにおいては、ドコモは間違いなく世界一のサービスであり、私に言わせれば、世界一の過剰なサービス、無駄なサービスを提供しているのである。

だが私は無駄だと思っても、スマホユーザーの大多数はそれを好み、あるいは他社に変えるほど悪くはないなどの消極的な理由から、それを選んでいる。

結局、日本の携帯通信価格が高いのは「消費者が望んでいるから」という結論になるのである』

以上のようになりますが、菅政権の目玉政策と言われている、携帯料金の4割値下げが、話題になっております。

携帯料金が値下げになるのは、もちろん良い事だと思うのですが、個人的には次のような疑問を感じております。

(1)節約は変動費ではなく固定費から始める
携帯料金4割値下げのニュースを聞いて、最初に頭に思い浮かんだのは、民間企業の提供する商品やサービスの値段に、総理が口出ししても良いのか?という疑問です。

もしこれが可能ならば、例えば生命保険会社に対して、保険料の値下げを要請して欲しいと思います。

その理由として、FP(ファイナンシャル・プランナー)などのお金の専門家が書いた本を読むと、「食費などの変動費より、固定費の節約を優先した方が良い」と、よく記載されております。

また節約した方が良い固定費の例として、携帯料金の他に、生命保険の保険料が挙げられている場合が多いからです。

もし菅総理の要請によって、携帯料金と生命保険の保険料が値下げになった場合、二つの代表的な固定費が節約になるのですから、家計は楽になると思います。

(2)儲けを蓄えて次のショックに備える
財務省が作成している、平成30年(2018年)度の法人企業統計によると、企業(金融・保険業を除く全産業)が貯えた内部留保は、前年度より3.7%増えて、463兆1,308億円となり、7年連続で過去最高を更新しました。

このような企業に対して麻生財務大臣は、内部留保を賃金や設備投資に回して欲しいと、何年も前から要請していたと思います。

当初はこの要請に対して、とても共感していたのですが、最近は少し考え方が変わりました。

その理由として沢山の内部留保があったからこそ、コロナショック(新型コロナウイルスによる経済危機)が発生した際に、多くの企業が倒産を回避できた可能性があるからです。

ニュースによると菅総理は、大手3社の携帯電話会社を、儲けすぎだと批判しているようです。

ただコロナショックの経験から考えると、次にやってくるショックのために、儲けを増やして、その中の一部を蓄えておくというのは、大切な事ではないでしょうか?

(3)携帯料金と生命保険は値下げの必要性が低い
冒頭で紹介した記事を読むと、格安スマホという選択肢があるのに、これより携帯料金が高いドコモを使い続けるのは、なんだかんだ言ってドコモのサービスに満足している消費者が、多いからだと記載されております。

また記事を書いた著者は、サービスの質や量が下がっても良いので、携帯料金を安くしたいという消費者は、ドコモから格安スマホに切り替えて下さいと、アドバイスしていると思います。

このアドバイスは生命保険の保険料を安くしたいという消費者にも、役に立つような気がするのです。

その理由として現在は、ライフネット生命などのネット生保が、サービスは程々だけど、大手より保険料が安い、格安スマホのような生命保険を提供しているからです。

このようにスマホと生命保険は、携帯料金(保険料)の高さに不満を感じている消費者の、受け皿があるのですから、菅総理が値下げを要請する必要性は、総合的・俯瞰的に低いのではないでしょうか?

Source: 生命保険、医療保険に加入する前に知っておきたい、社会保険の知識